看護師に求められる経験と能力

昨今の求人状況をみると、この数年、多くの業種で有効求人倍率が1.0を大きく下回っている。
データは古いが、日本看護協会が2007年に実施した「潜在並びに定年退職者看護職員の就業に関する意識調査」がある。この中で看護管理者が回答した潜在看護職員の雇用に関するデータがある。
「潜在看護職員を雇用した事のある」施設は約70%あり、「今後も雇用を考えている」施設は85%に上った。潜在看護職員を雇用する理由として、欠員の補充が一番多く72%、次いで増員への対応だった。雇用条件として「離職期間に拘らない」が69.8%であるが、離職期間に制限を求める場合は 「5年以内」が35.8%であった。因みに「10年以内」は15.5%。
雇用の際,求める経験や能力については、最も多いのが「看護職員としての実務経験」80.6%で他の項目と比較して突出している。定年退職看護職員に求める経験や能力は「基本的実践能力」と「熟知した臨床実務経験」が並んでトップだった。
つまり欠員補充をする場合、離職期間の長い潜在看護師でもよいが、基本的には実践経験を持っていることが必須条件となっている。
看護師には就職時や転職時に求められる経験や能力だけでなく、入職後、看護師としてのキャリアアップをしていく上で、職階ごとに求められる能力がある。例えば専門看護師・認定看護師の資格取得や看護管理者への昇格がこれに当たる。
看護師は基礎能力があれば、売り手市場の中で、優位な立場で就職はできるが、その後昇格する為には職階ごとに個々の専門性や経験が問われるのである。
医療専門職の中で、看護師は勉強熱心、勉強好きとよく言われる。学会や研究会などでの活動も盛んだし、病院単位、グループ単位で研修会が実施されているのが実情だ。
ここで一般の労働者と比較してみよう。
労働政策研究研修機構の「労働政策研究報告書・教育訓練サービス市場の現状と課題」についての調査によると、サラリーマンは自分の能力開発のために年間50.8時間費やしています。
その内訳は「勤務先の指示や支援のもとで行われる研修」が36.7%、「個人が自主的に行なう自己啓発」が64.6%でした。年代ごとの推移としては、20歳代から30歳代が多くの時間を費やしその後減少に転じ、50歳代に再び増加しています。
更に詳しくみると、正社員で年収500万円の場合、能力開発への自己投資額は年間約35,000円で時間では研修などに20.8時間費やしています。
自営業者の場合は、年間約64,000円で、時間は研修などに50.8時間費やしています。
看護師の場合はどうか。院内での研修や学会に所属していればこれらの数字は軽く上回るはずである。
看護師が勉強に多くの時間を割くのは当たり前との、考えもあるが、他の業種と比較して明らかに開きがあり、それなりに正当な評価をされるべきでしょう。